詰め物、被せものには保険適用の素材と保険外(自費)の素材があります。
当院では保険治療を中心に行っていますが、保険と自費はそれぞれメリットデメリットがあります。

詰め物(インレー)

金属で作られたものやレジン(プラスチック)で作られたもの、セラミック(陶器)で作られたものなど様々な種類があり、保険と保険外で使える材料も変わります。

«保険»

銀の金属やプラスチック(変色あり)を使用

■コンポジットレジンインレー(CRインレー) =白いプラスチック素材

コンポジットレジンインレー(CRインレー) =白いプラスチック素材

メリット

  • 色が歯に似ているので見た目が良い。
  • 治療期間が短い。(多くの場合、2~3週間で治療が終わる)
  • 歯を削る量が少ない。
  • 金属を使用しないので、金属の溶け出しによる歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーがない。
  • 修理が比較的簡単。
  • 保険適用の場合は安価。

デメリット

  • 時間が経つと変色し、見た目が悪くなってくることがある。
     (メンテナンスで修復は可能)
  • 強度が強くないので、噛み合わせが強い場合欠けたり割れたりすることがある。
     (この場合、周囲の歯を傷つけないため欠けることは良い。修復が可能。)

■銀色の金属素材

銀色の金属素材
主に奥歯の詰め物として使用される銀色の金属のインレー。
「金銀パラジウム合金」という金属が使用される。

メリット

  • 金属なので強度が強く、強い力のかかる部位にでも使用できる。
  • 保険適用の場合は安価。

デメリット

  • 金属なので見た目が良くない。
  • 時間が経つと金属が錆びて溶け出し、歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性が高い。
     (錆びにくい金属である貴金属は、保険では使えない)

«保険外(自費)»

■ゴールドインレー

ゴールドインレー

メリット

  • 金属なので強度が強く、強い力のかかる部位にでも使用できる。
  • 最も適合が良く、二次的な虫歯になりにくい。
  • 金属の溶け出しによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低い。

デメリット

  • 金属なので見た目が良くない。
  • 保険外治療のため、値段が高い。

被せもの(クラウン)

«保険»

■硬質レジン(歯科用プラスチック)

硬質レジン(歯科用プラスチック)

メリット

  • 色が歯に似ているので見た目が良い。
  • 金属を使用しないので、金属の溶け出しによる歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーがない。
  • 保険適応なので安価。

デメリット

  • 時間が経つと変色する。(見た目が悪くなってくる)
  • 強度が強くないので、奥歯など強い力のかかる部位には向かない場合がある。
  • すり減りやすい。
  • 汚れ(プラーク)が付きやすい。
  • 保険の適応範囲は前歯・犬歯のみで、奥歯には適応されない。
     (ただし、歯科医師が噛み合わせの力に耐えうると判断した場合に限り小臼歯まで可能)

■前歯:硬質レジン前装冠

中身は金属(金銀パラジウム合金など)で、外から見える部分にのみレジン(プラスチック)が貼り付けられているクラウン(差し歯)

メリット

  • 色が歯に似ているので見た目が良い。
  • 中身が金属なので強度が強く、ほとんでの部位に使用できる。
  • 保険適応なので安価。

デメリット

  • 時間が経つと変色する。(見た目が悪くなってくる)
  • 裏側から金属が見える。
  • 時間が経つと金属が錆びて溶け出し、歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性が高い。
  • 保険の適応範囲は前歯・犬歯のみで、奥歯には適応されない。

■金属冠(銀歯)

金属冠(銀歯)冠全体が金属で出来ている、いわゆる「銀歯」。保険でクラウン(差し歯)を作る場合には、基本的に前から4番目以降の歯はすべてこの金属冠(銀歯)

メリット

  • 金属なので強度が強く、強い力がかかる部位にでも使用できる。
  • 保険適応なので安価

デメリット

  • 金属なので見た目が良くない。
  • 時間が経つと金属が錆びて溶け出し、歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性がある。

«保険外(自費)»

■オールセラミック(陶器)

メリット

  • 非常に見た目が良く、ほとんど変色しない。
  • 汚れ(プラーク)が付きにくい。
  • 金属を使用しないので、金属の溶け出しによる歯や歯ぐきの変色、金属アレルギーが起こる可能性が低い。

デメリット

  • 割れやすい。
  • 歯を削る量が比較的多い。
  • 天然の歯より硬いため、周囲の歯やかみ合う歯を痛めることがある。
  • 仮止めで様子を見ることができない。
  • 長期的予後については、まだはっきりとは分かっていない。
  • 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目が見えてくることがある。
  • 保険外の治療なので、値段が高い。

■メタルボンド

メタルボンド冠とは中身は金属で、外から見える部分にのみセラミック(陶器)を貼り付けたクラウン(被せ物、差し歯)

メリット

  • 色が歯に似ているので見た目が良い。
  • 中身が金属なので割れにくく、ほとんどの部位に使用できる。
  • 中身の金属に貴金属を使用すれば、金属が溶け出すことによる歯ぐきの変色、金属アレルギーが起こる可能性が低い。

デメリット

  • 中身の金属の種類によっては、金属が溶け出すことによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性もある。
     (銀やニッケルクロムなどの卑金属の含有量が高い場合)
  • 色調はオールセラミッククラウンに劣る。
  • 裏側からは金属が見える。
  • 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目が見えてくることがある。
  • 保険外の治療なので、値段が高い。

■ジルコニアセラミッククラウン

メタルボンドの内面の金属の代わりに、ジルコニアを使用。
金属を一切使用しないため、金属が溶け出すことによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどの心配が無く、強度も強いので、奥歯やブリッジに使用することも可能。

メリット

  • 色が歯に似ているので見た目が良い。
  • 土台の金属が透けて見えない。
  • 割れにくく、ほとんどの部位に使用できる。
  • 金属を一切使用しないので、金属が溶け出すことによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどの心配がない。

デメリット

  • 色調はオールセラミッククラウンに劣る。
  • 歯を削る量が比較的多い。
  • 天然の歯より硬いため、周囲の歯やかみ合う歯を痛めることがある。
  • 長期的予後については、まだはっきりとは分かっていない。
  • 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目が見えてくることがある。
  • ジルコニア自体が割れることは非常にまれだが、ジルコニアを覆っているセラミック(陶器)の部分が割れることがある。
  • 保険外の治療なので、値段が高い。

■ゴールドクラウン(金の被せ物)

ゴールドクラウン(金の被せ物)「金合金」や「白金加金」等の貴金属を使用したクラウン(被せ物)。
金属なので見た目に問題はありますが、適合が良く金属もほとんど錆びることがない。

メリット

  • 金属なので強度が強く、ほとんどの部位に使用できる。
  • 最も適合が良く、二次的な虫歯になりにくい。
  • 金属の溶け出しによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低い。

デメリット

  • 金属なので見た目が良くない。
  • 歯科医院によっては、保険外の場合でも金銀パラジウム合金のような保険の金属を使用している場合がある。(保険を一切取り扱っていない歯科医院に多い)
  • 保険外治療となるので、値段が高い。

歯の土台(コア)

«保険»

■メタルコア

メタルコア保険で欠損が大きい歯の治療する場合は、ほとんどの場合この「メタルコア」が使用される。
保険のメタルコアには、一般的に銀合金を使用。

メリット

  • ほとんどの症例で使用可能。
  • 最も一般的なので、多くの実績がある。
  • 保険適応なので安価。

デメリット

  • 硬すぎるため、金属のくさび効果により歯が割れてしまうことがある。
  • 太く長いコアを入れていた場合には、再治療が困難。
  • オールセラミックジャケット冠をかぶせる場合には、中の金属の色が透けてしまうことがあるので向かない場合がある。
  • 歯茎から金属が透けて見えてしまうことがある。
  • 金属アレルギーの原因となることがある。

■レジンコア(プラスチック)

レジンコア(プラスチック)レジン(プラスチック)で作られたコア。
色が白く、セラミッククラウンを被せた際に見た目が良くなるというメリットがあるため、前歯部で噛み合わせの力があまりかからないようなケースでは積極的に使用される。
メタルコアに比べて強度・接着に問題があるため、奥歯で強い力がかかる部位や、深い虫歯がある部位には使用できない場合がある。
また、比較的歯の欠損が少ない場合や、お口の中でレジンを盛って、そのまま土台を作る場合もある。

メリット

  • しなる性質があるので、歯が割れる可能性が低くなる。
  • 金属の溶け出しによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどの心配がない。
  • 色が歯と似ているので、オールセラミックジャケット冠をかぶせて中の色が透けた場合でも見た目が悪くならない。
  • 保険適応の場合は安価。

デメリット

  • 歯の状態によっては、使用できないことがある。
  • ピンを併用している場合には、再治療が必要になった際、除去が困難な場合がある。
     (除去時に歯が割れてしまった場合には、高確率で抜歯となります)
  • 強度・接着的に問題があるので、かなりケースを吟味して使用する必要がある。

«保険外(自費)»

■ゴールドコア

ゴールドコア貴金属である金合金や白金加金で作られた土台(コア)。

メリット

  • ほとんどの症例で使用可能。
  • 硬すぎないので、歯が割れる可能性が低くなる。
  • 使用する金属によっては、金属アレルギーのリスクを抑えることも可能。

デメリット

  • オールセラミックジャケット冠をかぶせる場合には、中の金属の色が透けてしまうことがあるので向かない場合がある。
  • 歯茎から金属が透けて見えてしまうことがある。
  • 太く長いコアを入れていた場合には、再治療が困難。
  • 保険外の治療のため、値段が高い。

■ファイバーコア

FRC(ガラス繊維強化樹脂)という支柱(ポスト)を入れることによって、レジンコアの強度を改善する目的で開発された土台(コア)

メリット

  • しなる性質があるので、歯が割れる可能性が低くなる。
  • 白いため、審美的に有利。(特にオールセラミックジャケット冠を被せる際に有利)
  • 再治療が必要になった際の除去が比較的容易。
  • 金属アレルギーなどの心配がない。

デメリット

  • 歯の状態によっては、使用できないことがある。
  • 保険外の治療のため、値段が高い。
     (保険外のコアを使用した場合、クラウンにも保険が使えなくなる)
  • まだ歴史が浅いため、長期的予後には不安が残る。