知覚過敏の治療の前の大切な診断について

知覚過敏についての情報発信は、テレビCM等でもよくおこなわれているので、「自分の歯は知覚過敏かな?」と思って来院される患者さんも少なくありません。でも一番多いのは、虫歯ができてしまったんじゃないかと思われて来院されるパターンです。

冷たい物を口にふくむと歯がしみる。

甘い物を食べると歯がしみる。

食物を噛むと歯が痛い。

冷たい物や甘い物、噛む力などの歯に刺激を加えた時に、普段なら全く痛みを感じないのに、今日はしみたとか痛かったという場合、しかも一度だけでなく数日それらの症状が続くと、虫歯ができてしまったんじゃないかと思って、歯科医院に来院されます。

歯科医師が歯を見ますが、その歯に虫歯は認められない場合がよくあります。確認のためレントゲン撮影をしますが、やはり虫歯は全くありませんでしたという診断結果は決して少なくありません。

この場合の対応にはいくつかのものがあります。

①虫歯ではないので、しばらく様子を見ましょう。

②しみている場所に知覚過敏を軽減させる薬をぬりましょう。

③歯と歯肉の境目がくさび状に削れているので、レジンという樹脂で詰め物をしましょう。

しみる症状が極々軽い場合は、様子見が選択されることがあります。

ある程度以上の症状がある場合は、しみるのを軽減させなくてはならないので、薬をぬるか樹脂を詰める処置がおこなわれます。

現代の医療は西洋医学が中心となっていますので、症状を除去する治療がメインとなります。

しかし、症状を除去するだけの治療で本当に良いのでしょうか?

ある種の知覚過敏は、歯周病や顎関節症の初期症状なのです。知覚過敏の症状除去だけの治療では、知らず知らずのうちに歯周病や顎関節症が進行してしまいます。

歯と歯肉の境目付近の歯肉の状態を細かく診査したり、レントゲン検査でも歯の根と骨の間の歯根膜周囲の細かな診査をおこなったり、顎関節の診査や頚椎の診査をおこなうことで、知覚過敏に対するより細やかな診断をすることができます。

知覚過敏をひきおこした真の原因を追求することで、将来の大きな問題を回避することができます。

病気の原因を追求して原因除去をおこなう治療は、東洋医学的な考え方です。西洋医学だけでなく東洋医学的な考え方も併用することが、病気を根本的に治すためには必要です。

そのためには、歯だけではなく歯周組織、顎関節、頚椎などの歯の周りを多角的に診査し診断することが不可欠となります。

正しい診査診断については、また次回に!